昨年の情報はこちらから

入学式式辞(2017.4.7)

式 辞
 朝晩の冷え込みも少しずつやわらぎ、日増しに陽ざしが暖かくなってきている今日この頃、ここ牧沢の丘にもようやく春の訪れが感じられ、今年もまた生けるもの全てが躍動する季節が巡ってきました。
 この佳き日に、御多用の中、御来賓、保護者の皆様の多数の御臨席を賜り、平成二十九年度宮城県気仙沼西高等学校入学式を挙行できますことは、本校にとりまして、この上ない喜びであり,御臨席いただきました皆様方に厚く御礼を申し上げます。
 ただ今入学を許可した八十名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。在校生、教職員一同、皆さんを心から歓迎します。気仙沼西高校の最後の入学生として、自ら選んで入学してきた努力とその志に敬意を表します。
 本校は、気仙沼地区で初めての男女共学・全日制普通科の高校として、昭和六十年に開校しました。卒業生は四千名を超え、地元はもちろん、全国各地、多方面において活躍しております。
 平成十二年度からは、進学類型、情報類型、福祉類型の三類型を開設し、牧沢地区にある多くの施設と連携を図りながら、地域でより実践的に貢献できる人材育成を目指し、特色ある教育活動を展開してきました。本校が気仙沼地区において果たしてきた役割は決して小さくなく、地域とともに歩み、地域に支えられながら、明るい校風と歴史を築いてきました。
 しかしながら、地域の生徒数減少にともない、今年一年でその役割を終え、来年四月に気仙沼高校と統合することになりました。皆さんは、一年生で気仙沼西高校で学んだ後、二年生からは統合気仙沼高校の生徒となり,統合校の卒業生になります。西高生として、これまで先輩方が築いてきた伝統を受け継ぎ、西高の有終の美を飾ることに貢献すると同時に、本日、ほぼ時を同じくして入学する気仙沼高校の新入生とともに、高い志をもって切磋琢磨しながら、新しい学校の教育方針の下で、その歴史と伝統を創造していく役割を担っていくことになります。西高で過ごす高校生活の最初の一年間の価値をどのようにとらえ、そこで学んだことをそれ以降にどう活かしていくかは、皆さん一人一人にゆだねられますが、自らの将来を模索する中で自分の適性を見極め、才能を磨きながら様々な場面で力を発揮することで、皆さんが着実な成長を遂げることを期待しています。
 さて、今年度の本吉地区の高校入学者選抜試験は、後期選抜入試の競争率が学校によっては近年になく高くなりました。本校も、今年度は後期入試で例年より多くの不合格者を出しました。そのいわゆる難関を突破してこの場にいる皆さんは、それぞれが誇らしく晴れ晴れとした気持ちで今日この式に臨んでいることと思います。
 その皆さんに、私はここで、世間の人たちが考えがちな素朴な疑問を、実際に口に出して言ってみたいと思います。前期選抜入試で合格した人ももちろん含めてですが、何故皆さんは、一年生の時だけを過ごすことになる気仙沼西高校をあえて選んで、入学してきたのでしょうか。
 この問いの回答はおそらく八十人それぞれに八十通りあるはずですし、胸を張って説明できる内容のものからたわいのないものまで、様々あると思います。その多くは傍目から見ている者には理解しにくく、当事者である皆さん自身にしかわからないものなのかもしれません。
 誤解のないよう断っておきますが、私は入学してきた皆さんの経緯についてけちを付けるつもりはないし、理由を詮索したり、その善し悪しを判断するつもりも全くありません。ただ、先に述べたように、入りたくてもその志がかなわなかった人が比較的多くいることと、統合の過渡期に過ごす高校生活の特殊性を考慮する時、この機会に今一度、皆さんに西高に入学してきた理由を、自分の胸の中で確認してもらいたかったのです。この問いに対する回答が、皆さん一人一人のアイデンティティーだと考えますし,これから始まる高校生活の出発点になると思っています。
 皆さんの高校生活は、通常時に入学する生徒には決して経験できない貴重なものとなることは間違いありません。皆さんは、気仙沼高校と同一の学習内容を行い、二年時に三類型全てを選択することができます。すでに様々な機会に聞いてきたように、気仙沼高校は平成二十八年度からSGH、スーパーグローバルハイスクールの指定を文部科学省からうけています。海を題材にして、あらゆる事態に柔軟に対応できる資質を培い、やがては地域の復興だけにとどまらず、日本や世界に貢献する人材の育成を目指して、教育内容全般を刷新してきています。統合という状況下で、文字通りグローバルな視野を身につけ、世界に羽ばたく人材を目指し、皆さんのユニークな高校生活を充実させてほしいと思います。
 そして、皆さんは何より、気仙沼西高校の最後の一年間に立ち会うことになります。ここでもまた、通常の年にはない活動に携わることになりますが、在校生と協力して、先ずは今年一年、西高でもてる力を十分に発揮してもらいたいと思います。何年か後に振り返った時、忘れられない高校一年生の思い出がたくさんできることを願っています。
 最後になりましたが、 保護者の皆様にはお子様の御入学本当におめでとうございます。震災後の御苦労を経て、今日の日を迎えられた喜びはひとしおのものと推察いたします。お子さまが統合の過渡期に高校生活を送ることにつきましては、戸惑いや不安もおありのことと存じます。常に御家庭と情報を共有しながら、教職員一丸となってきめ細やかな指導にあたりますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 気仙沼西高校の最後の一年間も、これまで同様、地域に果たしてきた本校の役割を全うする所存ですので、皆様の変わらぬ御支援と御指導をお願い申し上げまして、式辞といたします。

平成二十九年四月七日

 宮城県気仙沼西高等学校長 佐々木光久